さやのオランダ留学記録

オランダ🇳🇱で社会学専攻の大学生をしています!その前はシンガポールのIBインターナショナルスクールにいました。ここではアムステルダムでの日常や考えをタラタラと書いていきます❤️

コロナウイルスの蔓延と、便乗する悪。批判的思考を使った情報の取捨でこの世を生き残る

 

(急遽書いている記事なので、文面はいつも通りではないですし、かなりお堅い感じです。)

 

 

 

友人から、ラインの通知が来た。

 

「さやちゃんは大事な友達だから、回すね。お母さんから教えてもらったんだけど…」

 

と言う文面と共に送られてきたのは、その子とその子の母親のラインのスクリーンショットだった。

 

文面は下記の通りである。

 

ママ友からの情報です!先ほど民法各社にも連絡が入ったようで、今晩、または明日の版に安倍総理の緊急会見があり、4月1日からロックダウン(都市封鎖)と言う発表があるとのことです。期間は2週間から3週間で長引く可能性がある見立てのようです。テレビ局のプロデューサーからの情報なので、かなり確度高い情報かと思います。取り急ぎの情報共有です。発表後、食料品や日用品を皆ドッと買いに行くので早めに。

 

 

スクリーンショットを読む限り、友人の母親も、親しい方から受け取ったようだ。

 

 

読んだ瞬間に、もしかしたら、本当にロックダウンが怒るのではという現状と比較した上での懸念と、文章自体に対する疑いが頭の中を駆け回った。

 

同じような文章を、私は数年前に見たはずだ。

 

 

2011年3月11日。東日本大震災が起きた。

 

 

その1週間から数週間、計画停電や、福島第一原発、そして止まない余震など、殆ど全てのメディアが災害情報で埋まり、CMすらもACのみの状況から元に戻っていない頃だ。

 

 

ちょうどその頃だった。悪質なチェーンメールが、消息確認や無事の知らせを伝え合うメッセージに紛れて、国民の混乱を呼び始めたのだ。

 

 

私、そして私の親は、ほぼ同時に複数の知り合いや親戚から、この時期から同じような文面のメールを受信した。こちらは、日本データ通信協会が記録しているチェーンメールのサンプル一覧だが、そこから私が受け取ったものに類似したものの引用を記す。

 

www.dekyo.or.jp

 

 

**小学校生徒の父兄の友達情報です。原発で働いている人だということです。 第一原発1号機爆発の後、上った放射線の雲が風に流され北に向かい 13日現在、仙台上空に達したかもしれません。さらに北に向かう可能性があるとのこと。家の中で窓は開けずになるべく外には出ないで、出るとして も肌の露出を避け、マスクに濡らしたタオルなどあてて短時間にして下さい。しばらくは注意。 運良く来なければいいですが、正式発表はとにかく遅れて来るので注意するに越したことはないと思います。特に小さいお子さんがい る人、注意してあげて下さい。 このメールをお知り合いの方にも出来るだけ配って下さい。何もないことを祈るばかりです。 念のため、お知らせします。 雨が降れば汚染されている可能性もあります。 

 

 

福島の原子力発電所で、 放射能が漏れているだろうとのことです。 知り合いのお医者さんから聞いた情報です。 これからしばらく毎日、海藻食品を食べつづけてください 海苔、海藻に含まれるヨードを十分にとっておくと、 放射能が身体に吸収されずに排出されます。(海苔などをとっていないと身体に放射能が大量に吸収されてしまいます!)みんなも危機感をもって、 このメールを周りの人に転送してください。 あと1日から2日で、 放射能は届いてしまうから、 極力、雪とか雨にはあたらないようにしたほうが良いです。 

 

 

日本全体がパニックに陥っている状況下で、このようなチェーンメールは、年齢や性別、職業を問わず、全国の国民の不安を煽り、行動や思考を操作した。ヨードが含まれたうがい薬が売り切れた。ネット上では論争が繰り広げられ、不安を訴える声も多く見られた。

 

 

混乱、怒り、不安、恐怖。普段の生活で感じないレベルの感情を、チェーンメールはその文面だけで増幅させたのだ。

 

 

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「プロ」が話していると書くことによる、信憑性の確率。

 

その上で、国民が心配している事柄についての新しい情報。

 

そして、「回せ、共有しろ」と言う言葉が最後にくる。

 

 

今日私が受け取ったラインは、まさしくチェーンメールの特徴をそのまま有していた。

 

 

送ってきてくれた友人は何も悪くない。寧ろ、彼女は、この混沌とした状況下で送られたチェーンメールの被害者であり、そしてそれを信じて私に回してくれた優しい人物である。なので、彼女の事は責めるべきではないだろう。

 

 

まずは送ってくれたことに対してお礼を言い、Twitterで 「プロデューサー ロックダウン」と検索する。すると、どうやら先日から同様の文章が日本中で回っているようだ。

 

 

それをスクリーンショットに保存し、まずは送信してくれた友人と、友人がさらに回したグループチャットに「デマの可能性があるので、冷静に行動しよう」と加えて送信した。

 

 

そして、数時間後の今、政府が公式に文章の内容を否定した。

 

www.jiji.com

 

この件に関しては、政府の迅速な対応を支持する。

 

もし、対応が一日でも遅れていれば、チェーンメールの被害者達は一斉にスーパーに向かい、大規模な買い占めが起きるだろう。そして、その場合、スーパーに集まった人の間で感染は免れる事はできないだろう。

 

世界が危機感を持ち、緊張が走る中で、このチェーンメールは極めて悪質な行為である。

 

日本には、文章を友人から受信したばかりの私のように、疑いを持ちながらも「もしかしたら今回は」と言う未曾有の事態に対する不安と恐怖に負けて信じてしまう人もいただろう。

 

それほどに、不安は人々や世間の動きをいとも簡単に操作してしまうのだ。

 

 

私達は、どうやって生き残ればいいのか?

 

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ここ10年で、LINEやTwitterなどのSNSの発達で、真偽が確定しないまま、一般人の間で情報が錯綜する世の中になった。

 

情報が飽和しているこの世界では、正しい情報を持つ事が、生き残る条件として不可欠になる。

 

この世は、情報を持つものが世を制す時代になったのだ。

 

そして、コロナウイルスの世界的な感染、パンデミックや、自然災害など、人間が危機的状況下に立った時、情報を見極める力は必要不可欠になってくる。

 

 

しかし、どうすれば私達は正しい情報のみを手に入れられるのだろうか。

 

 

今となっては常識になっている考えではあるが、

 

全ての情報を一度は疑い、批判的思考を持つ

 

ことで、この情報で溢れる社会を生き残る事はできると私は強く考える。

 

 

英語ではCritical Thinkingと呼ばれる批判的思考は、メディアだけでなく学術的な知識にも用いられる、国際的に重要視されている概念だ。

 

批判的思考とは全てを批判的、悲観的に捉えるものではない。

 

 

様々な角度から一つの知識を分析すると言う思考能力を、批判的思考と呼ぶ。

 

そして、今日本全域の国民にまさに必要なのが、この批判的思考能力なのである

 

 

今回の例を用いて説明すると、

 

チェーンメールを受信して読んだ際に、盲信的になる、またはなりたい自分から一歩遠ざかってみる。

 

そして、その情報の内容ではなく、その情報の構成や、どのような経緯で私の元にまで来たのか、そして信憑性などを現状と比較して考えてみる。

 

このように、考える角度を少しでいいから変えてみることが、新しい情報をふるいにかけることの始まりになるのだ。

 

 

結論

これから、コロナウイルスが広がるに連れて更にこの様なデマが増えるだろう。そして、これを読んでいる貴方達の不安を増幅させ利用する様なビジネスや、詐欺なども増えるかもしれない。

 

しかし、私達は一度、3.11で学んでいるはずである。私達は、情報の選択を怠ってはいけない。

 

コロナウイルスや、それによる経済的、社会的な影響は、日々私達を蝕んでいる。

 

ここで今一度、新しい情報に対して、少し斜に構えて受け入れることの重要性を見直すべきではないだろうか。

 

 

 

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